掟
一今度徳川幕府より所替を仰せ付けられ、伊勢国亀山へ引っ越します。所替については、幕府の法令を守り、いいかげんな事がないように、全ての事に慎まなければなりません。
一幕府の御用で通行する衆らへは、下馬し不礼な事がないようにする事。
附けたり、喧嘩や口論は堅く止めさせる事。もし喧嘩や口論が生じた時、その場にいた者を見逃したなら、処罰します。又、宿の事は、その主人より必ず申し付ける事。
一音楽の演奏やいろいろな商い、勝負事は堅く止めさせる事。
一道中遊女の事は、相☐(判読不能)するように。
附けたり、大酒は禁止の事。
一組頭、年寄共は言うに及ばす、頭々、目付の者が指図するする事については、間違いがないようにする事。
一道中の宿々において、火の元の事は、きっと心掛ける事。
附けたり、声高や雑談は不必要の事。
一宿々の善し悪しについて、宿割りの担当者に対し少しも苦情を言わない事。
一宿代は決められた通り出し、亭主より手形を取るように。宿遣い道具を壊した者は、必ずその代わりを用意する事。
一足軽・中間の宿賃の事は、それぞれの頭に申し付けて出すという事。
一泊りの所に着いたならば、道が混雑しないように、組頭・年寄へ見廻り、翌日の言い合わせも 承るようにする事。この時人多く連れる事がないようにする事。又は、遅れの事が生じたならば、一所に集める事。
一宿並びに問屋・馬指・馬子・渡馬・日雇等に至るまで、打擲する事がないようにする事。
附けたり、船川で、競り合わないようにする事。さて、又荷物貫目、いささかも定より重くしないようにする事。
右の条々、必ずこれを守り、足軽や従者等へは、その頭、その主分が申し付ける事。もし決まりを乱すものがあれば、たとえ後日にそれがわかっても、処罰します。
四月四日
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