5.現在の亀山市と高梁市との交流
現在、亀山市と高梁市は、江戸時代の交換転封がきっかけとなって、それぞれのライオンズクラブと中学校が以前より交流している。そこで、現在までのさまざまな交流の経緯やその成果を紹介する。 また、視点を変えて両市をみると、両市では、和紅茶・歴史的風致維持向上計画認定都市などの共通点も見えてくる。これらの共通点は、今後さらに両市が交流を深めていく中で、新たな交流を生み出すきっかけとなる。このことから、このコーナーでは、交流についてだけでなく、両市の共通点も併せて紹介する。 |
(1)ライオンズクラブや中学校との交流 |
(2)亀山市と高梁市との共通点 |
備中松山城とその城下町を中心とした「高梁地区」(78ha)と、吹屋伝統的建造物群保存地区と周辺の銅山等を含む「吹屋地区」(210ha)を重点区域とし、自然環境と調和した良好な景観を守ることを目指している。 平成22年11月22日 国認定 5-9:『高梁市歴史的風致維持向上計画』 平成26年(2014)5月 高梁市
亀山市内の東海道の沿道(19.5㎞、約500ha)を重点区域とし、東海道に関わる歴史的風致の維持向上を目指している。 平成21年1月19日 国認定 5-10:『亀山市歴史的風致維持向上計画』 平成20年(2008)12月 亀山市
高梁市で毎年お盆に行われる松山踊りには、「地踊り」と「仕組み踊り」がある。 地踊りは慶安元年(1648)頃、備中松山城主が水谷勝隆の頃にはじまったといわれ、農家の五穀豊穣を祈願し、町家の繁栄を祝うものとされる。 一方、仕組み踊りは、延享元年(1744)頃から始まったといわれ、伊勢の亀山から入封した城主板倉勝澄が、武士たちに踊らせたことにはじまったといわれている。
吹屋は岡山県西部吉備高原上の山間地にあり、近世以降、銅山とベンガラで繁栄した鉱山町である。起伏の多い丘陵に囲まれた狭い盆地内の街道に沿って、町家主屋や土蔵等が建ち並んでいる。屋根は赤褐色の石州瓦を用い、赤いベンガラ壁や白漆喰壁の平入・妻入の町屋が混在し、地方色豊かで変化ある町並み景観を構成している。
関宿の町並みを保存するため、昭和55年(1980)に文化庁の補助を得て実施した伝統的建造物群保存対策調査の報告書。 調査結果をもとに、昭和59年(1984)12月10日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された 5-13:『関宿 伝統的建造物群保存対策調査報告』 昭和56年(1981)3月 三重県鈴鹿郡関町
江戸時代、関宿は東海道の江戸から47番目の宿場町として賑わった。東海道の宿場町としては唯一の保存地区で、出入口にあたる東追分から西追分まで全長約1.8キロメートルの宿場町のほぼ全域である。街道に沿って家屋が連続し、旧宿場の規模と雰囲気をよく伝える。塗屋造・真壁造で二階建・中二階建・平屋建など多様な町家が混在し、変化のある町並み景観となっている。 亀山紅茶と高梁紅茶 亀山市と高梁市との共通点の1つとして、両市では、それぞれ和紅茶を製産販売していることがあげられる。 亀山紅茶の製産の歴史は、昭和2年(1927)に野登村の川戸勉氏が台湾に渡航し、紅茶生産に従事した後、昭和22年に帰郷し、亀山で戦後初の本格的な紅茶生産を開始した。これにより昭和24年(1949)に亀山で「べにほまれ」品種(多田系印度雑種群より選抜した品種)が植えられ、昭和28年(1953)の全国茶品評会で最優秀賞を受賞した。以後、川戸勉氏の「べにほまれ」は最優秀賞を幾度も受賞し、生産量も増加したが、昭和45年(1970)の紅茶完全輸入化が始まると次第に低迷し、その後一旦消滅した。現在の亀山紅茶は、平成24年(2012)に結成されたkisekiの会によって、市内にのこっていた「べにほまれ」園を再生し、復活した紅茶であり、バラのような芳香と心地よい渋みが特徴として販売されている。 これに対し、高梁紅茶は、静岡県の在来種から選抜された「やぶきた」を由来とした高梁産の茶葉を使用している。海外品種よりも渋みが少ないのが特徴として販売されている。
5-15:KISEKI KAMEYAMA(亀山紅茶)
販売元:亀山kisekiの会
5-16:高梁紅茶
販売元:百姓のわざ伝承グループ
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(3)両市の未来に向けて |
亀山市歴史博物館開館記念・市制40周年特別展として開催された企画展示の図録。 巻頭には両市の市長があいさつを寄せており、両市の交流はこの時から始まっていた。 展示①:藩主交替二五〇周年記念特別展「高梁市の文化遺産 所替による 近世亀山・備中松山の交流 平成6年(1994) 発行:亀山市歴史博物館
平成18年2月18日から3月21日の会期で、高梁市歴史美術館で行われた特別展の図録。 展示②:「特別展 石川総慶とその時代」 平成18年(2006) 発行:高梁市教育委員会
岡山県高梁市と亀山市は、「藩主交代の歴史を共有するまち 高梁市・亀山市 災害時相互応援協定」を締結している。 東日本大震災の発生を受けて、遠隔自治体間での防災に関わる連携の強化とともに、両市の歴史的なつながりから、教育や文化をはじめとするさまざまな分野での一層の交流の促進が確認された。 今回の企画展は、かめやま文化年2017の関連事業としての位置付けがあるが、かめやま文化年2017においては、「まち集う ~高梁市との歴史・文化交流~」として、高梁市とのさまざまな交流事業を進めている。 |