2.自然の中からみつかった1番
さっきは、土の中からみつかった1番を紹介したけれど、とうぜんだけど、1番は、土の中やむかしの人がのこしたものの中だけにあるわけじゃないよね。ふだん私たちの身近にある自然の中にも、たくさんの1番があるんだよ。このコーナーでは、そのうちのほんの一部だけど、川や山などからみつかった「1番」を紹介するね。
さあ、みんな知ってたかな?
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(1)河口までの距離が1番長い川は? -鈴鹿川- |
亀山市には鈴鹿山脈などの大きな山があって、その山から流れ出している川が、大きいものから小さいものまでたくさんあるんだ。
じゃあ、市内を流れている川で、源流から河口までの距離が1番長い川はどこだろう?。調べたら、それは鈴鹿川だったんだ。鈴鹿川は、関町坂下の滋賀県との境にある「高畑山」から亀山市→鈴鹿市→四日市市を通って、伊勢湾に流れる川で、全長が38㎞もあるんだって。そして、亀山市は、この鈴鹿川のおかげで水が豊富なんだって。ちなみに2番目と3番目に長い川については、「市内を流れる川の長さベスト3」表をみてね。
市内を流れる川の長さベスト3
順位 |
川 |
長さ |
等級 |
源流 |
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鈴鹿川 |
38㎞ |
1級河川 |
高畑山(関町坂下) |
2番 |
中ノ川 |
21.321km |
2級河川 |
関町萩原字山の神 |
3番 |
安楽川 |
13.830km |
1級河川 |
安坂山町字南矢原 |
川のまめちしき 川には「河川法」という法律(国が決めたルール)があるって知ってた?。川は、この河川法によって、①国が管理する1級河川と、②都道府県が管理する2級河川、③市町村が管理する準用河川にランク分けされてるんだ。これ以外に市町村が管理するけど、河川法を当てはめない普通河川とよばれる川もあるけどね。だいたい大きな川から1級河川→2級河川→準用河川・普通河川と分けられてるんだ。 |
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現在の鈴鹿川のようす。国(国土交通省)が管理している1級河川です。
2-1:現在の鈴鹿川(すずかがわ) 平成30年6月13日撮影
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[2-2]
江戸時代に描かれた地図です。この地図には、鈴鹿川という表記はなく、鈴鹿川を下った河口のところに、「高岡川」と書かれています。同様に中ノ川も「四谷川」と書かれています。それぞれの川が、別の名前でも呼ばれていたことがわかります。
2-2:伊勢国絵図(いせのくにえず)(部分) 亀山市歴史博物館所蔵加藤家文書
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[2-3]
江戸時代の「東海道名所図会」という本の中では、鈴鹿川を「八十瀬川」として紹介しています。そこには、八十瀬川とは、別の名前を鈴鹿川といい、東海道の左に流れ、また右に流れて、たくさんのカーブがあるので、八十瀬というと書かれています。
2-3:東海道名所図会(とうかいどうめいしょずえ) 二 亀山市歴史博物館所蔵
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2-4:九重雑誌(ここのえざっし)七号 鈴鹿郡 亀山市歴史博物館所蔵 樋田清砂コレクション
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明治時代に書かれた「九重雑誌」という本によれば、鈴鹿川が、坂ノ下(坂下)付近では吾妻川、沓掛~市ノ瀬(市瀬)付近では八十瀬川、関から先は関川と呼ばれていたことがわかります。また、ここには書かれていませんが、加太川と合流する付近では、坂下川とも呼ばれていたようです。
むかしは、同じ川でも地域によって呼び方がちがっていました。
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(2)市内で1番高い山は? -仙ヶ岳- |
「川」といえば「山」、むかしは合い言葉の定番でもあった山。そこで、さっきは川の紹介だったから、次は市内の山に関する1番を紹介するね。
みんなは、今年の5月に、亀山市で「亀山7座トレイル」という協定が結ばれたのは知ってた?。これは、かんたんに言えば、亀山の7つの山を道で結び、たくさんの人が観光できるように、山に登るための道をととのえながら守っていきましょうということなんだよ。トレイルとは、「歩くための道」って意味なんだって。
この7つの山のうちの一つに「仙ヶ岳」という山があって、この山は、市内の山で1番高い山なの。961mもあるんだって。頂上まで登るには、登山になれた大人でも3~4時間くらいかかるんだよ。そして、この山は、となりの野登山にある野登寺をつくった仙朝上人というお坊さんが亡くなったといわれている山で、野登寺にとっても大事な山なんだよ。
「亀山7座トレイル」の7つの山
山 |
高さ |
仙ヶ岳 |
961m |
野登山 |
851.6m |
臼杵ヶ岳 |
697m |
四方草山 |
667.4m |
三子山 |
568m |
高畑山 |
773.3m |
錫杖ヶ岳 |
676m |
市内の高い山ベスト5
順位 |
山 |
高さ |
|
仙ヶ岳 |
961m |
2番 |
野登山 |
851.6m |
3番 |
御所ヶ平 |
850m |
4番 |
三ツ頭山 |
774m |
5番 |
高畑山 |
773.3m |
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2-5:勢州鈴鹿郡衆山環抱之図(せいしゅうすずかぐんしゅうざんかんぽうのず) 亀山市歴史博物館所蔵 加藤家文書
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これは、江戸時代まで武士だった天野さんという人が書いた絵を1886年(明治19)に写したものです。この絵はどこから見て描いたかははっきりしていませんが、遠く鈴鹿山脈の山々などが描かれ、山の名前も書き込まれています。なお、1番高い山の仙ヶ岳は「仙峨岳」、野登山は「鶏足山」と書かれています。
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[2-6] |
2-6:仙ヶ岳(せんがたけ) 平成30年5月20日撮影
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[2-6]
道の途中の「南尾根」とよばれる場所から撮影した仙ヶ岳。仙ヶ岳は、野登寺を開いた仙朝上人をまつる野登寺の「奥の院」でもある山です。仙ヶ岳の「仙」は仙朝上人の「仙」でもあります。山頂では「ドウダンツツジ」や「シロヤシオ」などの花がみられます。
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2-7:仙の石(せんのいし) 平成30年5月20日撮影
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[2-7]
仙ヶ岳山頂から、野登山へ向かう仙鶏尾根の途中に巨大な石があります。「仙の石」といい、野登寺を開いた仙朝上人が、この石の下で亡くなった(入滅した)と伝えられています。この巨大な仙の石は、むかしの本に3尺(約90㎝)と書かれていますが、実際はもっと大きく、一緒に写っている人の身長が約150㎝なので、おそらく4mくらいの高さはあるのではないでしょうか。
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[2-8] |
[2-8]
仙ヶ岳の中腹にある滝谷不動明王は、野登寺の照空上人(別名を竹成法印という)によって、江戸時代につくられたと伝わっています。「滝谷不動さん」とも呼ばれ、信仰を集めています。
2-8:滝谷不動尊(たきたにふどうそん) 平成30年5月20日撮影
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[2-9] |
[2-9]
よく晴れた日に仙ヶ岳に登るとすばらしい絶景に出会うことができます。真下には、新名神高速道路を車が走っているようすや、遠くは、伊勢湾をはるか志摩半島あたりまでみることができます。
2-9:仙ヶ岳山頂(せんがたけさんちょう)から亀山市方向(ほうこう)をのぞむ (平成30年5月20日撮影)
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[2-10] |
2-10:御所ヶ平(ごしょがひら) 平成30年5月20日撮影
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[2-10]
御所ヶ平は、仙ヶ岳から安楽道へ出る途中にある山で市内で3番目に高い山です。この山には、伝説があり、一説には、永禄(1558~1570年)の頃、織田信長の次男で北畠信意が、父信長が本能寺の変で殺された時に、自分も殺されることを恐れて隠れ住んだ地と伝わっています。その時、池山村(現在の安坂山町)の太郎左衛門が馬を引いて道案内をし、また次郎左衛門は、従者に水を汲んで与えたことから、それぞれ「馬路」と「早川」の姓になったとつたわっており、馬路姓や早川姓のルーツといわれています。
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[2-11] |
2-11:鍔・ハバキ・縁 亀山市歴史博物館所蔵 馬路家文書
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[2-11]
今から78年前の1940年(昭和15)に御所ヶ平の続きの地にある家老平からみつかった刀の鍔とハバキと縁です。家老平は、御所ヶ平が北畠信意が隠れ住んだのに対し、つきしたがってきた家老が隠れ住んだので、家老平という名前がついたと伝わっています。
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(3)市内にある樹木の1番 -背の高い木と幹の太い木- |
亀山市では、今から7年前にWebでみる亀山市の歴史をまとめた「亀山市史」をつくって発表したんだ。この時、亀山の自然について調べたグループの人が、市内に植わっている樹木についても調べたんだ。
ここでは、この「亀山市史」を使って、背の高い木と幹の太い木に注目してみたんだ。それぞれ1番は、みんなもびっくりする大きさだよ。
なお、「亀山市史」は、博物館の1階にあるパソコンや、お家のパソコンなど、インターネットに接続しているパソコンからみることができるから、樹木に興味があったらみてみてね。ここで紹介できなかった、みんなの住んでいる地域の樹木についても載ってるよ。
市内の樹木ベスト5
順位 |
樹木の高さ |
樹木の太さ |
樹木名 |
高さ |
所在 |
樹木名 |
幹周り |
所在 |
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スギ |
44m |
川俣神社 (加太板屋) |
イチョウ |
805㎝ |
宗英寺 (南野町) |
2番 |
スギ |
34m |
野登寺 (安坂山町) |
スギ |
747㎝ |
野登寺 (安坂山町) |
3番 |
シラカシ |
33m |
川俣神社 (加太板屋) |
スギ |
639㎝ |
川俣神社 (加太板屋) |
4番 |
スギ |
28.5m |
野登寺 (安坂山町) |
ツブラジイ |
603㎝ |
正覚寺 (阿野田町) |
5番 |
イチイガシ |
26.5m |
多門櫓付近 (本丸町) |
ムクノキ |
570㎝ |
野村一里塚 (野村) |
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[2-12] |
2-12:スギ (加太板屋・川俣神社) 亀山市歴史博物館撮影
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[2-12]
市内でNo.1の高さを誇る木は、加太板屋の川俣神社にあります。神社の御神木のスギで、高さ44mもあります。下からみても、周りの木の枝などに隠れてしまって頭の先までみえません。そして、御神木の前に立てられた看板によれば、樹齢1000年の古い木です。
また、川俣神社の社殿の裏にあるサカキは、三重県内のサカキの木の中で1番幹が太く、幹周りは167㎝あります。サカキのとなりには、幹周り182cm、高さ20mのイヌガシの木があり、こちらもイヌガシとしては県内最大級の木です。
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[2-13] |
2-13:イチョウ (南野町・宗英寺) 亀山市まちなみ文文財G 写真提供
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[2-13]
市内で1番太い木は、南野町にある宗英寺のイチョウの木です。幹の周りは805㎝もある大木で、三重県の天然記念物に指定されています。樹齢はさだかではありませんが、推定600年くらいといわれているので、こちらもかなり古い木といえます。
そして、このイチョウのある宗英寺は、「イチョウ寺」ともよばれて、親しまれています。
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