平成11年12月3日〜平成12年1月31日
第3回 テーマ展示

近世史料にみる情報伝達のかたち


この展示では、江戸時代の古文書類(近世史料)
から情報を引き出す一方法として
そこに表された情報伝達のかたちに
注目しながら、史料の内容をうかがいました。


二つの意味をもつ写本しゃほん
            写本しゃほんには、二つの意味があります。
        @印刷された本(版本はんぽん)に対して手書きされた本のこと
        A原本に対して、その原本を写したもの
この二冊は、寛政かんせい五年(1793)九月十八日、
将軍徳川家斉が江戸城吹上の庭で
ロシアから帰国した
亀山領内南若松村出身の大黒屋幸だいこくやこう(光)太夫だゆう
磯吉との問答をそこに同席していた
桂川甫周国瑞かつらがわほしゅうくにあきらが記録したものの写本です。

この記録は、研究者によってすでに多くの
写本が確認されており、一般的に
漂民御覧之記ひょうみんごらんのき』の題名で知られています。

同じ内容の写本ですが、それぞれの奥書から
この二冊の書写経緯しょしゃけいいが別ルートで
あることがわかります。