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ガラス製ハエ取り器

図1 ガラス製ハエ取り器の仕組み          クリックで拡大
(亀山市歴史博物館所蔵川戸家資料89)

 このハエ取り器はガラス製です。正式名称は不明ですが、「ハエ取り瓶」とも呼ばれていたそうです。  仕組みは、あらかじめ瓶の中に酢・酒・砂糖などを混ぜた水を入れておきます。図1のように瓶の下に餌を置いてハエを誘います。ハエは上に飛び上がり瓶の中に入りますが、出ることができませんので、力尽きて水の中に落ちて死んでしまいます。また、死んだハエを取り出す時は、上部の蓋を外して逆さまにすれば、水と一緒に流れ出てきます。  東日本大震災の時に、被災地のハエ対策で大活躍したペットボトルで作られたハエ取り器にも、このガラス製ハエ取り器の原理が用いられています。






尾張時計株式会社製「ハイトリック2号」

図2 ハイトリックの仕組み
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(亀山市歴史博物館所蔵松尾家資料)

 「ハイトリック」は大正2年1月11日に、兵庫県の堀江松治郎が発明し、特許を取得したハエ取り器です。製造は名古屋市の尾張時計株式会社がおこないました。ゼンマイ仕掛けの仕組みですので、時計屋が製造したというのも、「餅は餅屋に」といったところでしょうか。
 そして、このハエ取り器は全国的に大ヒットし、国外へも輸出されました。
 このハエ取り器の仕組みは、まず四角柱にハエの好物である酒・酢・砂糖を混ぜたモノを塗っておきます。そこにハエが寄ってきて止まります。四角柱は、ゼンマイ仕掛けにより自動回転しているので、ハエは、図2のように、暗い箱の中へ閉じ込められます。また、網篭側の側面には窓が付いていて、外の光を取り込めるようになっています。ハエは明るい所に集まる習性があるので、自然と網篭の方へ入っていきます。この仕掛けは、1回のネジ巻きで10数時間は動くそうです。
 ハエ取り棒やガラス製のハエ取り器とは違い、ハエを生きたまま捕獲できますので、飼育用のカジカ蛙などの餌にすることができます。また、網篭の網面をあぶったり、網篭ごと水につければ、死なせることもできます。
 その他、夜間に四角い軸に酒を塗って仕掛けておけば、蚊を取ることもでき、別の用途でも使える優れものです。
 なお、展示している「ハイトリック」は、ゼンマイのネジやハエを閉じ込めるための板が無くなってしまっており、完全な形ではありません。


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